第64章 仲裁
「……んだと?今なんつった、こら」
「なんだよ、聞こえなかったのかよ。耳悪いなぁ。弱虫っつったんだよ。ん?聞こえたか?何度でも言ってやるぜ。弱虫。弱虫野郎」
「テメェ……いい度胸だ」
「玄弥はなぁ、あんたに突っぱねられながらもここへ来て勇気振り絞って必死に話したんだよ。それをまあ兄ちゃんであるあんたが聞く耳もたずに攻撃するとはな。心が弱いにも程があんだろ。聞く耳も悪くなってんのかな。それとも頭が悪いのかな……っ!」
不死川が拳を出してきたので飛び退いて躱す。
「テメェ……、死にてぇ様だなァ」
「喧嘩したから怒られてんのに、また喧嘩すんのかよ。馬鹿の極みだな」
「るっせェ!この糞ガキ!」
不死川はまた攻撃をしようとする。
「やめろ!!」
光希が睨む。
不死川が拳を止める。
「喧嘩は、駄目だ」
「テメェが挑発してきたんだろがァ」
「挑発されたら乗るのかよ」
「……チッ」
不死川はまたドカッと座る。
光希も座る。心を落ち着けるように息を吐く。
「……ごめん、俺も言い過ぎた」
光希は素直に謝る。
「でもさ、玄弥はあんたのこと本当に本当に大好きなんだよ。どんなに辛くても、それはブレない」
「…………」
「あんたも、そうだろ。それを認めずに目を逸らし続けるのは、玄弥より弱虫だ」
「…………」
「あんたはそんな弱虫じゃないはずだ」
「…………」
「死支度、終わってないのあんたくらいだぞ」
「……るっせえ」
「炭治郎と玄弥にごめんなさいは?」
「誰がするかァ」
「あんたも大概ガキだなぁ」
「ガキに言われたくねえ」
「その喧嘩っ早いのどうにかしろよ、大人なんだから」
「テメェに言われたくねえよ!」
「俺はもうずっと殴り合いの喧嘩はしてねえよっ!口喧嘩はしょっちゅうだけど」
「同じだろォ」
「同じじゃねえし!それに俺はちゃんとごめんなさいするもんね!」
不死川はぷいっとそっぽを向く。