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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第64章 仲裁


不死川の屋敷に着くと、庭先はぐっちゃぐちゃになっており、そこかしこに隊士が転がっていた。
乱闘の激しさを物語っている。


……うわぁ

光希と宇髄は顔を引つらせる。
地獄の鍛錬は一時中止となっているようだ。


二人が来たことで、意識のある隊士があわてて礼を取る。


「風柱と竃門はどこだ?」

光希が聞く。

「風柱様は居室、炭治郎はあちらの部屋で手当をされています」
「わかった。ありがとう」

光希と宇髄は玄関から屋敷に入る。



宇髄は炭治郎のところへ向かい、光希は不死川の部屋の前に来た。


「実弥さん、入っていいですか?」
「…………」
「なんか言ってくださいよ」
「…………」
「聞こえてるんでしょ」
「…………」

廊下でため息を着くと、戸が荒々しく開いた。


「……なんか用かァ」
「用があるから来たんでしょ」
「……チッ」
「お邪魔します」

光希は部屋に入り、トン…と静かに戸を閉めた。胡座をかいた不死川の前に、正座をして座る。


「乱闘は駄目でしょう」
「……るっせえなァ」
「炭治郎に悪気はない」
「んなこたァ、わかってんだよォ」
「じゃあ、なんで」
「…………」

「俺も、あいつも、おせっかいなんですよ。血筋かな」
「……迷惑だっつってんだァ」
「そうですね。でも、俺たちはただひたすらにあんた達兄弟を心配してるんです」
「関係ねえだろうがァ」
「関係はある。俺たちは玄弥の同期だ。……あいつは、俺たちの大事な仲間なんだ」
「だとしても俺とはなんの関わりもねえだろうが!」


……関わりがない、だと?

光希はギリッと奥歯を噛みしめる。


「あるに決まってんだろ!あんたは、あいつの兄ちゃんなんだよっ!」
「俺に弟なんかいねえよォ」
「たった一人の肉親だろ!心配なのはわかるが、玄弥の決めた道を少しは応援してやれよ」
「だから!あいつは弟なんかじゃねえ!」


「この、弱虫」

光希が冷ややかな声で言う。

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