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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第63章 恋慕


「……眠い」
「おいこら」

光希は屋根の上でころんと寝転がる。
すぐに寝息が聞こえ始めた。


「……おい、まじかよ」


宇髄は驚いて光希を見た。
確かに彼女が眠くなる時間ではある。


「どこでも寝やがって……阿呆か」


宇髄は光希の寝顔を見つめる。


「流石にそろそろ……無理だろ」


光希の寝顔は相変わらず幼いが、その中にも女性らしさが出てきている。この先、男としてやっていくのは難しいだろうと思った。


「まあ……、俺が守ればいいんだろ。鬼からも、言い寄ってくる男からも」


宇髄は光希の髪を優しく撫でる。
彼女は全く起きない。


「今日は派手に疲れたよな」


起こさないようにそっと彼女の身体を抱え、屋根から降りた。
空き部屋に寝かせて、羽織をかけてやる。光希は羽織をきゅっと掴み、畳の上で丸まって眠る。


「すぐ側に善逸がいるのに、寝てていいのかよ」


そう声をかけると、光希は「ん……、善逸?」と反応をした。薄く微笑みを浮かべる。


「……ったく、お前、本当にあいつの事好きなのな。どこがいいんだか、全く」


宇髄はそう言うと部屋から出ていく。
光希がいる部屋への注意を怠らないまま道場を覗きに行くと、善逸が逃げ回っていた。


「テメェこら!逃げてんじゃねェ!打ち込み稽古だっつってんだろがァ!オラァ!!」
「ひ、ひぃぃぃ………!!しっ、死ぬっ!死ぬよ!まじで死ぬよこれ!無理無理無理!ぎぃゃぁぁぁぁ!!」


「…………」

その姿に、宇髄は苦笑いだ。


「まあ、逃げ足の速さは大したもんだ」



善逸は疲れたところをぶっ飛ばされて、吐き散らかしていた。


……光希がこれ見たら大爆笑すんだろな。そんで、木刀持って「共闘だ!」とかって参戦すんだろな



宇髄は稽古場に転がる善逸を、目を細めて見ていた。


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