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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第63章 恋慕


それだけで状況を察した光希と宇髄。

光希は立ち上がり、彼のいる庭先に近付く。


「ああ、いいよ。どうした」
「話がある」
「わかった。まあ、座んなよ」

縁側に座らせ、自分も隣にあぐらをかいて座る。


「天元さん」
「はい」

宇髄はふっと姿を消す。


「…………」
「…………」

二人で並んで縁側に座るが、男は何も言い出さない。



「……今日の軍議、」

仕方なく光希が話し始める。


「お前、あんまり発言しないから心配してた。いつも楽しそうにいろいろ案を出してくれるのに」
「……なんか、頭が回らなくてな」
「まあ、そういうときもあるわな」

「……あいつ。あの金髪」
「うん」
「お前、……あいつのこと、自分の命より大事なのか?」
「ああ」
「お前の……恋人か」
「………そうだ」

光希は小さな声で彼に教えた。


「他言無用に頼むよ」
「……言わないさ。言わないけど……」
「うん。ごめんな。お前の気持ちは嬉しいんだけど」
「俺、まだ何も言ってない」
「言わなくてもわかるよ。でも、お前もわかってて言いに来たんだろ?」
「……ああ」
「なら、聞いてやるから言ってみろ、ほれ」

光希は笑いながら男に話しかける。
男の顔にも笑顔が戻った。


「……はは、ありがと。俺、お前のそういうところ含めて、好きだ」
「うん。俺の方こそ、ありがとう。その気持ちは凄く嬉しいよ」
「そっか、じゃあ俺の恋人になって」
「ははは、それは無理だ」
「……ちぇ。絶対俺の方がいい男なのに」
「かもな」


青年は悲しみを笑顔に隠す。


光希は彼の手が少し震えていることに気が付いていたが、心を痛めながらも見ないふりをする。


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