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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第63章 恋慕


「とっとと手当しろォ」

不死川はそう言って光希の横を通り過ぎる。

「うん。実弥さん、ありがとう」

光希は折れた木刀二本を、それ専用のゴミ箱に入れ、破れた足袋拾う。



「いててて……」


光希が右手を抑えると、隊士たちが集まる。


「大丈夫か、如月」
「冷やすか?見せてみろ」

一気に取り囲まれる。


「打撲だけだ、心配いらない。ありがとな」

光希は皆に笑いかける。


「重症なのは、これ」

そう言って足袋を見せて、皆で笑う。


宇髄が縁側に手桶を用意してくれていたので、光希はそこへ行く。

宇髄の登場で、彼女の周りに集まっていた隊士たちは一歩引く。


「天元さん、ありがと」
「無茶しないでください」
「うん。ごめん」

宇髄は手ぬぐいを水に浸して光希に渡す。

光希は縁側に座り、受け取った手ぬぐいを赤くなっている右腕に巻きつけた。
もう一枚は右足の脛に乗せる。


「天元さん、軍議の準備を頼む」
「かしこまりました」

宇髄は頭を下げてふわっと消える。

庭から見ていた一般隊士が、光希の姿に見惚れた。



その視線に気付いた光希が皆に声をかける。


「おはよう……って、昼か」

そう言ってニコッと笑うので、皆は頬を染めてバッと頭を下げる。


「実弥さんの稽古はしんどいよな。でもちゃんと教えてくれる人だから、諦めずに頑張ろうな!ぶっ倒してやれ!」

そう言うと、「はい!」と元気な声が返ってきた。


善逸の姿を見つけると、光希はふふっと笑った。



「おい何してんだ!テメェら準備しろォ!!」

不死川の声が飛んで、皆は慌てて準備に行った。
その場に善逸だけが残る。

『ちょっと残って』

善逸にしか聞こえない声で指示をされたからだ。



二人になると、善逸は光希の隣に座った。

光希は右腕の手ぬぐいを外し、水に浸す。
水を絞ろうとすると善逸が手を伸ばして絞ってやった。

「ありがと」
「……おう」

光希はまた右腕に手ぬぐいを置く。


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