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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第63章 恋慕


光希は道場を駆け回り、不死川に斬りかかる。

疲労が溜まっていく中、光希の足が不意に滑る。


「うわっ!!」


バランスを崩して前方に転がる。
何もないところで光希がコケたので、不死川も慌てる。しかし技は発動しているので止められない。


「な、何だァ?お、おいっ!避けろォ!!」
「……っ!」

なんとか体勢は立て直したが、光希は躱すのは無理だと判断し、刀を出して技を受ける。


「光希っ!まともに受けるなっ!受け流せ!!」

善逸が庭から叫ぶ。



「ぐっ……!」

光希は左側に身体を流しながら刀同士を滑らせて攻撃を受け流す。
しかし最後の最後で軌道を見誤り、流し損ねて右腕に攻撃を浴び、木刀の尖端を破壊された。


「……ぐっ!いってえ!!」



光希は部屋の隅に走り込み、しゃがむ。
負傷したのかと善逸はひやりとする。


しかし光希は足袋を脱いでポイッと投げてまた立ち上がる。
その足袋は底がベロンと破れていた。


「よおし!まだまだっ!」


裸足になった光希が楽しそうに笑う。


「テメェ、それでコケたのかよォ!馬鹿かァ!」
「ごめん!」


光希は右手を握って背中に回し、左手一本になる。
さっきの一撃で右腕欠損ということなのだろう。


「でもちょっと風の受け流しが解った!」
「まぐれかもなァ!」


不死川がまた攻撃をしてくる。

光希は左手一本で受け流しにかかる。


………力じゃない。変則的な太刀筋をよく見ろ


刀を当てて、力を受け流す。



「そうだァ!」
「よっしゃ!もういっちょ!」


不死川がまた大技を繰り出す。
光希はまた違う体勢で受け流す。


「うっ……、くっ!」


左手一本なので、力がかかると途端にぐらりと揺れる。必死に両足で踏ん張る。

流し切って低い体勢のまま飛び込み、「水面斬り!」と逆から切り込む壱ノ型で不死川の胸部に木刀を当てた。


「よォし!」


不死川が満足そうに不敵な笑みを浮かべる。


「はぁっ……はぁっ……、ありがとうございました」


光希が大粒の汗を流しながら、頭を下げる。

不死川も刀を下ろし、会釈程度に頭を下げる。



見ていた隊士たちが、ふぅと息を吐く。


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