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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第63章 恋慕


光希は宇髄に自分の考えを提案する。


「どう?いいと思わない?」
「まあ、止めても仕方ねえだろな。怪我すんなよ?」
「いやボッコボコだろうな」
「………おいおい」
「まあ、流石に死にはしねえだろ。ははは」

光希はケラケラと笑う。


「お前……鍛錬も軍議もいいけどよ、あんまりあいつらと近くなるなよ」
「でも、信頼関係は大切だ」
「……想いを告げられるぞ。あいつらは隊の精鋭部隊だ。お前が女だと気付いていてもおかしくねえ」
「わかってる。いつも気にかけてくれてありがとな。まあでも、それに関しては止めないでいいよ」
「でもよ……、」
「いいんだ。何か言われたら、俺が誠意を持って答える。言いたいことは言った方がいいんだよ。無理に止めさせる必要はない」

「ここまで築いた関係が崩れちまうだろ」
「崩れないよ。そこは俺がうまくやる」

光希が少し困ったような顔をする。


戦いが近付いている今、彼女に恋慕する隊士が行動を起こしてもおかしくないと宇髄は思う。
一人が動けば、後押しされたように数人が動くかもしれない。

自分もモテる方だから、告白を断わる辛さもよくわかる。優しい光希なら尚更だろう。


「天元さん、大丈夫だから。心配してくれてありがとうね」
「……おう」
「善逸とのことを公表出来ればいいのかもしれないけど、それはちょっと無理だもんな」
「逆にあいつがお前の相手だとわかると、希望を持った野郎共が動くかもな。相手は冨岡か俺にしとけ」
「酷っ!善逸かわいそう!あいつあんなに良い男なのにっ!」

「そう思ってんのはお前だけだ」
「あはは」

「とにかく、組敷かれたら終わりだぞ。お前は力ではあいつらに勝てない」
「わかってる。でも、俺の側にはあんたが居るから大丈夫だ」

そう言って光希がにっこりと笑う。


……この笑顔だよ。これが厄介ごとの種なんだよ。わかってんのかねぇ


宇髄は眉を寄せながらため息をつき、己の胸の奥で高鳴る鼓動に気付かないふりをする。



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