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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第62章 最後の夜


持っていく荷物を風呂敷にまとめて、一息つく。
隊服はすぐに着られるように用意をする。

居間に行くと、善逸は隊服を着て座っていた。
光希は着物のまま、善逸のそばにちょこんと座る。

「今日は鍛錬、休みな」
「……行くもん」
「あはは、無理だよ」
「出来るもん」
「無理しないの」
「無理じゃないもん」
「……拗ねないの」
「…………拗ねて、ねえもん」

善逸は光希を抱き寄せる。


「光希」
「はい」

「俺、待ってるから」
「…………」

「俺、ここの他に家…ねえし。ここしかないの。だから、ずっとここで待ってるから」
「………はい」



「愛してるよ」
「私も、愛しています」




そこへ、義勇の気配がした。

目を見合わせて口付けを交わす。



光希はスッと立ち上がり、自室に入る。

善逸も立ち上がって玄関に行って義勇を出迎える。


「……どうも」
「なんて顔だ」
「すみません」
「しっかりしろ」
「はい」

義勇は家に上がり、置いてあった自分の荷物をまとめる。


「大人しくさせてただろうな」
「…………ええ」

「おい。まさかとは思うが」
「……なんのことでしょう」

善逸の目が、やばいと泳ぎだす。


「……まあ、しかたないか」
「すみません」
「上官の命に従うだけがいいとは思わない。男ならな」
「………はい」

そこへ隊服を着て荷物を持った光希が現れる。



「義勇さん、お迎えありがとうございます」

ゆるやかに笑っている。


「お前は流石だな、光希」
「なにがでしょう」
「我妻、見習え」
「……はい」


「行けるか、光希」
「はい。行けます」


光希と義勇が立ち上がる。


善逸も、二人を追って玄関へ向かう。



「……先に行く。我妻、邪魔したな」
「いえ。ご武運を」



善逸が礼をとり、義勇が家を出ていく。

光希と善逸が玄関に残される。


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