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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第62章 最後の夜


歌を作り終わって、善逸の心も浮上してきた。

「歌には癒やし効果があるんだ。俺たちは子どもの頃からなんとなくそれに気付いてたんだな。いやあ、やっぱり俺たちは天才だったな」

光希が満足そうに笑う。


「新曲の題名、どうするよ」
「どうすっかな……、善逸は何がいい?」
「………『続・おっぱいの歌』」
「いや、おっぱいの要素どこにもねえだろが!おっぱいから離れろ!」
「……くっ、…駄目だ、おっぱいが頭から離れない」
「呪いかよ!まあ、あれだけ繰り返せばな」

二人で笑い合う。


「んー、順当に『愛のうた』…かなあ」

「そうだね。じゃあ、とりあえずそれで。いいの思い付いたら教えて。善逸に任せるよ」
「わかった」

善逸がにこりと笑う。



「……さて、俺のやりたいことは終わった。大満足だ。善逸のやりたいこと言って」
「何でもいいの?」
「うん」


「じゃあ……言葉、変えて」
「わかった。他は?」

「今夜はお前と一緒に徹夜する。ずっと一緒にいて、沢山話がしたい」
「いいよ。明日しんどかったら鍛錬は休んでね」
「俺は鬼殺隊士だぞ。徹夜くらい余裕だ」
「じゃあ状況次第ね」

「あと……、一緒にお風呂に入って、お前を思い切り抱く」
「いいよ」
「途中で気絶してもやめない」
「もちろん」


「……俺、こんなに我儘言っていいの?」
「いいよ。だって、今善逸が言ったことは、全部私もしたいことだもん」
「同じ気持ちなのか……」
「そうだよ。離れたくないのも、同じだよ」
「辛いのも、寂しいのも……」
「同じだよ」


「俺がお前を愛する気持ちも、同じなんだな」
「んー…それは少し違うかもね」

「え?」
「きっと、私が善逸を愛する気持ちの方が大きいから。同じじゃない」

「………俺のお前を想う気持ちの方が大きい」
「いや、私だね」
「いやいや、俺だ」

不毛な戦いが始まる。

「私の愛は海みたいに広いの」
「残念、俺の愛は空みたいに広いんだ」

どうでもいいことで言い合う二人。

「この世で一番愛してるもん」
「俺もだもんね」

ぎゅっと抱きしめ合う。


「……じゃあ、同じかな」
「うん。同じだな」


ゆっくりと口付けを交わした。

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