第2章 もしかしてお前は…
「そこまでだ!二人とも!もうやめろ!!」
炭治郎が二人の間に入る。
「炭治郎…」
「邪魔すんな、どけ!」
「だめだ、どかない!君らちょっと落ち着け!」
「光希!炭治郎の言う通りだ!やめろ!」
「善逸…」
光希は炭治郎と善逸の声で我を取り戻したが、まだまだ暴れる気満々の猪は止まらない。
「いいからどけぇ!俺はそいつを倒すんだ!」
まだ光希へと向かう猪に、「だから、ちょっと落ち着けェ!!!」と、炭治郎の頭突きが炸裂する。
ゴシャというやばい音に、光希と善逸は息を呑む。猪…伊之助は自分の名を名乗ると脳震盪で気を失った。
光希は炭治郎と善逸の二人から、とくとくと説教をくらった。
遺体を埋葬しながら炭治郎が聞く。
「なあ。善逸と光希は兄弟なのか?さっき…」
「ああ、んー…兄弟じゃないけど、善逸とは子どもの時一緒に育ったんだ」
「へぇ、仲良しなんだな」
炭治郎は微笑みを浮かべる。
仲良し…?光希と善逸は首をひねる。仲良し、というのはあまり自分らにしっくりこない気がした。
そうこうしているうちに伊之助が起き上がってまた騒ぎ出した。
伊之助が善逸を追いかける姿を見て、まあ、害はないだろうと判断して放っておくことにした。
帰り際、正一を連れて行くとゴネ始めた善逸。
呆れる光希。対応してくれてる炭治郎に、ごめんな、と心の中で謝る。
……こうなるとあいつ、めんどくせえんだよな
どうするかな、と考えていたら炭治郎が首に一撃をかまし、善逸はぐたりとなった。
なんかその姿に光希はくすりと笑えてきた。
……お前らの方が兄弟みたいだな
箱を前に移動させ、気絶した善逸を背負おうとする炭治郎。
「炭治郎、俺が運ぶよ」
「あ、いや俺が気絶させたし」
「はは、殴ってくれて助かったよ。こいつ阿呆だからああなるとやっかいなんだ」
笑いながら善逸を受け取り、よいしょ、と背負う光希。左手がズキリと痛む。
「……っ」
「光希怪我してるだろ。俺が背負うよ」
「いやいや、炭治郎の方が圧倒的に重症だろ。俺のはたいしたことない。大丈夫だ」
「……悪い」
「何で謝るんだよ。変な奴」
ははは、と笑う光希。四人は炭治郎の鴉の案内で移動をし始めた。