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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第60章 判断


「……ねえ、光希。こっち来て俺の背中を洗ってくれない?」

善逸が作戦を変えてきた。
光希が善逸に見えないように微笑む。

「いいよー」
「へへっ。はい、石鹸。お願いします」
「はーい」

光希が善逸の背中を洗う。

「気持ちいいー」

善逸が嬉しそうにしている。
善逸の背中は細かい傷が沢山付いている。


「……善逸は、あまり後ろ傷を受けてる印象ないけど。結構あるんだね」
「んー、稽古の時のやつかな。確かに俺、戦いの中であんまり背中はくらわないかも」
「速いからね」
「負傷はだいたい足の骨折かな」
「確かに」
「足の負担が大きいのよ、俺の技」

光希はお湯をかけて、泡を流す。

「はい、おしまい」
「ありがとう。次は光希」
「お断りします。私、背中の傷見られたくないので」

善逸の次手などお見通しの光希。さあどうする。

光希はまた湯船の方へ行こうと立ち上がる。
せっかく側にまで来させたのに、と焦る善逸。

咄嗟に光希の手を掴む。

そのまま引き寄せて抱きしめる。


「……結局、力技?」

腕の中で、光希が不満そうな声を上げる。


「ち、違う!」
「なら、何?」
「えっと、お前が……、やりたそうだから、」
「は?」
「さっき、珍しく誘ってきたし。今も背中流しに来てくれたし。お前が、まぐわいをしたそうだから、してやる」

「……それは、お前の意思じゃない。認められない。まあ計略なんだろうけど、あまりにも陳腐で弱い」



「うわぁぁぁん!もう、わかんないよ!出来ないよ!我慢できない!抱きたい!」

「泣くなよ……」
「もう、なんで俺さっき受け入れなかったの!馬鹿!俺の馬鹿!!」
「落ち着け」

「光希の馬鹿!もう計略とか嫌だ!なんなの!俺、可哀想過ぎじゃない?こんなことやらされて、やりたくもないのに。俺、軍師じゃないし!計略とか出来ないし!そもそも発端は光希の身体を心配しただけなのにさ!抱けないし!なんなの!馬鹿!馬鹿馬鹿!!」

「……そうね。善逸にとっては、やりたくないことだよね。馬鹿でごめんね。でもね、考えることはとっても大切なんだよ。それだけは忘れないで」


そう言うと、光希は風呂場から出ていった。


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