第60章 判断
居間でお茶を飲みながらのんびりと話をする二人。
「そうか。久々に寝たのね」
「……うん、たぶん。気付いたら不機嫌そうな時透さんが、『もういいよ、次、行けば?』って。ったく、なんで俺があんなに嫌われなきゃいけねえんだよ」
「あははは。善逸だけが嫌われてるんじゃなくて、ほとんどの人にそんな感じだよ」
「いや、俺にやたらと厳しかったもん。あいつ、本当にお前の事好きなのな」
「そんなことないよ。多少だよ、多少」
善逸は激し過ぎる無一郎の打ち込み稽古で気絶させられ、そこから眠りに入って力を発揮。高速技で無一郎に一撃をくらわせて倒して突破したらしい。
皆がなかなか突破できない無一郎の稽古を早々と終えたので不思議に思っていたのだが、謎が解けた。
「やっぱり善逸は凄いね。流石俺の旦那だ!」
「俺って……俺は男の旦那なのかい!」
「あはは!衆道だ!」
「あ……、不死川の誤解を解かなきゃな。俺ら男色だと思われてる」
「そうなの?」
「ああ」
「あははは、面白いからそのままにしとこう。玄弥、女の子苦手だし」
光希がケラケラと笑う。
「あ、そろそろ善逸は寝ないとね」
「……もったいねえな。光希居るのに」
「駄目だよ。ちゃんと寝ないと。明日、昼間は伊黒さんのところ行くでしょ」
「うん。伊黒さんも怖えな……」
「ああ見えて面倒見のいい人だよ」
「ふうん」
「お風呂わいたかな。お先どうぞ」
「うん」
善逸が立ち上がる。
そして、ふと動きを止める。
「……お前。一人で風呂、入れるの?」
光希を見下ろしてそう言った。