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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第59章 血


善逸は光希の腰に手を置き、ひょいと持ち上げて自分の足の上に乗せる。

そのまま太ももの下に手を入れて「よいしょ」と立ち上がる。子どものように、縦に抱っこされる形になった。


「これ、重くない?腕、大丈夫?」
「平気だよ」

抱きあげられた光希は、善逸より目線が高くなる。戸をくぐるときは鴨居にぶつけないように頭を下げ、善逸の首元にしがみつく。

「きゃはは!面白いっ!父様に抱っこされてた時はこんな感じだったのかな?」

自分の首に顔を寄せてはしゃぐ光希に、善逸にも笑みが溢れる。

台所まで抱っこで運んでもらう。


「到着でーす」
「ありがとう、善逸」

椅子にストンと下ろされる。

食事の準備を手伝おうとすると、座ってて!と止められる。善逸がテキパキと無駄のない動きで用意をしていく。


「善逸、今度は母様みたい。善逸は父様なの?母様なの?どっち?」

机についた腕の上に顔を乗せ、光希が善逸に聞く。

「んー?どっちだろうな」
「妹のお世話の得意な、兄様?」
「ははは、なんだろうな」

笑いながら、食事を器によそっていく。

焼き魚を光希の前に置き、彼女と目を合わせた。


「俺は、お前と家族になれるなら、なんだっていいよ」


そう言って、光希の髪を耳にそっとかけてやる。
ご飯と味噌汁を取りに行き、戻ってきた時にクスッと笑った。

「なんだよ、耳真っ赤じゃん」

そう言われて、光希は照れながら顔を反らした。

「可愛いね、光希ちゃん」
「……うるさいな。なんでもいいなら、将棋の弱い爺さんね」

「………最近、物忘れが激しくてのう。桂馬はどう動くんじゃったかの?」
「あははは!善爺ボケ過ぎ!」
「ははは」

光希が爆笑して、善逸も笑う。


食事の用意が出来て、二人でいただきますをして食べ始める。

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