第59章 血
夕方頃、善逸に起こされる。
「光希、体調はどう?」
「ん……まあまあ、かな。おはよう、善逸」
「おはよ。ご飯できたけど、どうする?もう少し後にするか?」
「ううん、起きる。ありがとう」
ゆっくりと身体を起こす光希。
「じゃあ、改めて……」
善逸が光希の隣にちょこんと座る。
「お帰り、光希」
そう言って、ちゅっと光希に口付けをする。
少し照れたように上目遣いで光希をちらっと見てから、にこっと笑顔になる。
いや、へらっとした笑顔だったかもしれない。
……か、可愛い
それでも、善逸のそのなんとも愛らしい行動に光希の胸がキュンとなる。
「ただいま、善逸」
そう微笑み返すと、善逸に優しく抱きしめられる。
「……会いたかったよ」
「会いたかった。私も」
「温かいね」
「寒くなってきたもんね」
善逸の温かさを感じながら、彼にそっと体重を預ける。善逸はそれをしっかりと支えてくれた。