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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第59章 血


「善逸、着替えてるね」
「ああ。ゆっくりしてて」

善逸は義勇を客間に連れていく。


座布団に座ると、義勇が口を開く。


「あの荷物は、今日半分程持ち帰る」
「え、別に構いませんよ?」

「この家を正式にお前にやる」
「え……、は?」

義勇が一枚の紙を善逸に渡す。
それには、この家の持ち主が善逸だと記されていた。

「いいんですか?」
「ああ」
「でも……しのぶさんは…」
「俺たちがここに住むことは、ない」
「そんな…、でも……」
「お前たちが、ここに住め」
「冨岡さん……」
「光希の家もあるからな。どちらでもいいが、お前らは離れるんじゃない。ずっと、だ」
「はい」

善逸は紙を握りしめて、頷いた。

「ありがとうございます」

深く一礼をする。


「あいつには昼夜逆転の生活をさせている。昨日は徹夜だ。今から夕方まで寝かせてやれ」
「はい」
「昼間はいいが、夜に一人にすることのないように。やむ終えない時は連絡しろ」
「わかりました」


「あと、」
「……?」
「あいつは今、極度の貧血だ。昨日胡蝶に大量に採血されている」
「…! 通りでなんか元気がないと思った」

「休ませるために連れてきた。鍛錬は禁止。そしてお前も、くれぐれも無理をさせるな。……わかるな?」

義勇に念を押されて、頬を赤らめる善逸。


「わ、わかりました」

俯き加減で答える。


諸注意を終えると義勇は立ち上がって、荷物を取りに行く。

そこへ着替え終わった光希が現れる。


「置いてもらってていいんですよ?」
「……これは、胡蝶の荷物なんだ」
「そうだったんですね」

「あいつの姉の遺品だ」
「カナエさんの……」
「辛くて見られないからと、ここに置いていった」
「そうでしたか」

「あいつに返さねば」
「また、顔を見せにきてくれるといいですね。義勇さんから返してあげるのが一番です」

義勇は「そうだな」と言い、行李を背負って風呂敷を手に持った。


「残りは迎えの時だ」
「はい」

「我妻、頼んだぞ」
「はい」

「二日後、迎えに来る」
「お願いします。ありがとうございました、義勇さん」

二人に声をかけて、義勇は去っていった。


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