第59章 血
途端に眠気が襲ってくる。
そんな中、布団に横になりながら光希が喋る。
「義勇さんは……大丈夫ですか?」
「………」
「無理してる」
「お前が気にすることではない」
「俺はガキだけど……恋愛のこともまだまだ疎いけど……、寂しいのはわかります」
「あいつが、自分で決めてやっているんだ。俺は、見守るだけだ」
「でも…寂しいでしょ……」
「……、寝ろ」
「寂しいのは…嫌だな……」
瞼が落ちてくる光希。
「言いたいこと…言って…おいて……くだ…ぃ」
最後の方はほとんど聞き取れなかった。
しかし、先程の二人のやり取りを見て、義勇も覚悟をしなくてはと思った。
「お前は、凄いな」
眠る光希に声をかける。
「俺はまだ、お前のように覚悟を決められない」
すると、閉じられていた光希の目がゆっくりと開く。
「言っておきたいことを、ただ素直に全部言えばいい。覚悟は後から付いてきます」
「……狸め」
「どっちかって言うと、俺は狐です。眠いのは本当。……おやすみなさい」
今度こそ光希は眠った。
義勇は小さくため息をつき、彼女の目にかかる前髪を払い、熱がないかを確認する。
手首で脈をとり、容態を確認していく。
「おやすみ、光希」
義勇は、立ち上がる。
「……ありがとう」
そう言い残して部屋を出ていった。