第58章 光
「義勇さん、お待たせしてすみませんでした」
光希が外に行くと宇髄も居た。
「あ、天元さんも。ごめんね!」
「本当だぜ。人の家でいちゃいちゃしやがってよ」
「あはは。ごめんごめん」
「もういいのか」
「はい!ご心配おかけしてすみませんでした!早く戻らないと。走っていいですか?」
「ああ」
そこへ善逸が家から出てくる。
「光希!またな!」
そう言って、笑顔で手を上げる。
「おう!善逸、またな!」
光希もそう言って、笑顔で手を上げた。
宇髄に挨拶をすると、光希と義勇はまたたく間に居なくなった。
「お前も、苦労するな」
「ええ」
「笑ってんじゃねえか」
「まあ。苦労するけど、俺、めちゃくちゃ愛されてますから」
「……腹立つ」
善逸は宇髄に蹴りを入れられて、ひっくり返った。文句を言いながら起き上がり、無一郎の家へ向かう。
………俺はもっと強くなって、光希の光になる。誰よりも輝いて、光希を照らしてやりたい
善逸は早足で歩いていたが、いつの間にか走っていた。
運命は自分の手で切り開く。
もし自分にもそれが出来るのなら。
必ず光希との幸せな未来を掴み取りたい。
強く。
強くなるんだ。
そう言い聞かせながら走って、無一郎邸に着く。
無一郎に挨拶をする。
「ふうん。君が我妻か。……弱そう」
目を細めた無一郎の第一声に、善逸は早くも心が折れそうになった。
他の隊士より明らかに当たりの強い、地獄の打ち込み稽古が開始される。
頑張れ、俺。
負けるな、俺。
念仏のように繰り返しながら、善逸は鍛錬を頑張るのだった。