第58章 光
「……なんだこれ」
「異様な光景だな」
「あはは、隊士が走りに出てて良かった」
善逸、炭治郎、光希が苦笑いを浮かべる。
「天元さん、義勇さん、どうですか?」
「……鬼の気配はねえな」
「大丈夫だ」
「地中を含め、警戒をお願いします」
「おう」
「承知」
光希が本を持つ。開こうとすると、横から義勇がすっと取り上げる。
「義勇さん」
「俺が読む。遊びに行ってこい」
「……遊びには行きませんけど。じゃあ、お願いします」
義勇が小さく静かな声で読む。
宇髄は義勇の隣から本を覗き込んで自分で読み、二人の少年は義勇の声を聞いて、理解しようと頑張る。
読み終わると、しん…となる五人。
「ごめんな。炭治郎」
「……え?」
「お前の家族が亡くなったのも、禰豆子が鬼になったのも、俺の祖先のせいなんだ。謝ってどうなることではないけど、……心から謝罪します。ごめんなさい」
光希は深々と頭を下げる。
「や、やめてよ、光希。これは光希のせいじゃないだろう」
炭治郎が慌てて光希の頭を上げさせる。
「善逸も、天元さんも……本当にごめん。俺はこの罪を背負って、頑張るから。ごめん。ごめんなさい」
「光希……」
「おい、落ち着け、光希」
善逸と宇髄も光希に近付く。
光希は俯いたままだ。
「しっかりしろ」
義勇が、光希に声をかける。
「……はい」
光希は拳に力を込めて、顔を上げる。
呼吸を整えて、心を落ち着ける。
「今、俺の血を調べている。何かの手がかりになるかもしれない」
「たま、」
「炭治郎。……そう、調べてもらってる」
光希は自分の口元に人差し指を立てて炭治郎を制す。珠世の名前を出そうとした炭治郎は、慌てて自分の口を押さえる。