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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第7章 冨岡邸


光希の生理が終わると、義勇は自分の任務に光希を連れて行くことが増えた。
実践練習である。

光希も久々の仕事で気合いが入る。
連れて行かれる任務も今までとは桁違いの内容で、初めの方は人を守りながらの見取り稽古だったが、次第に戦いに参加させてもらえるようになった。

今夜は異能の鬼二体の討伐で、逆転の呼吸を使って二人で倒した。
技のスピードが速い義勇とは、ぼぼ同時に技を出して逆転の呼吸を使う。後追いするのでは追いつけないからだ。それでも光希の技が乗ることで義勇の技も格段に威力があがる。

――これは、本当に凄いな…


あっけなく倒れる鬼を見て、義勇はそう思った。
無論、一人でも倒せる相手だが、こうやすやすとはいかなかっただろう。


「見えたか」
「いえ……、正直、義勇さんの技に合わせることで精一杯でした。すみません」

速すぎる。
最近、義勇の本気を目の当たりにする度に落ち込んでばかりだ。力が違いすぎて。


「慣れろ。感覚を掴め」
「はい」

二人は帰路につく。光希の足取りは重い。
逆転の呼吸を使うまでに三度程庇われ、救けられた。完全に足手まといだ。


「足」
「足……?」
「お前は、足を巧く使う」
「ああ……。そうですか?あまり思ったことがないですが」
「器用に力を使っている」
「んー、幼馴染が雷なので、足に力を溜めて切り返したりするのは教えてもらいました」
「それか」
「はい」
「速さはある。そこを伸ばせ」
「はい。わかりました」

頑張れ、と義勇は励ましてくれているのだ。共に過ごすうちに少しずつそういうのがわかってきた。


それからも義勇は何度も光希を任務に同行させた。戦い続けるうちに、次第に速さに慣れてくる光希。逆転の呼吸のタイミングもわかってきた。

「光希!」
「はい!」

このやりとりだけで、見事に技を合わせ、鬼を倒した。


そして、義勇が言った。

「俺との修行は、これで終いだ」と。


「はい……?」

光希は訳がわからなくて、首を傾げた。

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