第58章 光
「俺も……読んでいいのか」
善逸が光希に聞く。
「ん?なんでだ?」
「だって、これは機密事項だろ。俺はお前らの家とは……」
関係ないのに、と言いたい善逸の意向を読み取る光希。
「もちろん、いいよ。善逸だって無関係じゃない。でも、お前が知りたくないことも出てくる。知りたくないなら読まなくていいよ。
ここまで連れてきといてなんだけど、報告を受けるか受けないかは、お前の判断にまかせる」
「………読むよ」
「ん。わかった。読めない字とかあったら義勇さんに聞いて。義勇さん、お願いします。じゃ」
光希はそう言うと、宇髄を探しに山へ走っていった。
「ここからかな?」
炭治郎が紙の挟んである頁を開き、善逸と自分の前に本を持ってくる。二人は両側から本を持ち、途中の難しい言葉を義勇に聞きながら一緒に読んだ。
指定された部分と最終頁を読み、一度本を閉じる。
「……禰豆子を人に戻すことが出来るのか?光希は」
「これだけじゃ、わからないな」
「炭治郎、何か覚えていることはないか。お前は光希と違って、割と大きくなるまで家族と共にいただろう」
「如月家のこととかは、何も……。ばあちゃんが鬼のことはよく話していたのですが」
「そうか」
「光希と二人……、並んで何かを聞いたんだ。前に一度光希とも話したのですが、光希もなんとなくばあちゃんの言葉が引っかかっているみたいでした」
そこへ光希と宇髄が帰ってくる。
「お前、本当、そういうとこな!」
「だから!そんなんじゃねえっつってんだろが!あんたの物差しで考えないでくれよ!」
喧嘩腰で家に入ってくる二人。
「おいこら冨岡。俺が居ない間に光希がお前にべったりくっついてるようだな」
「なんのことだ」
「ほらね!そんなんじゃないっつったじゃん!誤解を招く事言わないでよ」
光希は少し疲れたように、義勇の隣に座る。
「はあ……すみません義勇さん。天元さんがヤキモチやいちゃって」
「別に」
義勇の顔はいつもどおりの無表情。
善逸だけが拗ねたような顔をしていた。
「善逸も、そんな顔すんな」
「………わかってるよ」
……ったく、どいつもこいつも
光希はため息を一つついた。