第58章 光
翌朝、光希は朝から練習場で鍛錬をしていた。左手で全ての技を出せるよう、何度も繰り返して練習をする。
「うーん……」
いくら左利きとはいっても、やったことが無いことはうまくいかないものである。
「いまいち安定しないな」
「光希、早いな」
「悲鳴嶼さん!おはようございます。いいところに!」
「ん?」
光希は技の相談をする。
悲鳴嶼に見てもらいながら、助言をもらう。
それを稽古場の外から見ていた義勇。
……俺に聞け
出遅れたと思いながら、じっと見守る。
光希は悲鳴嶼の元で熱心に稽古をしている。
そのまま手合わせをしてもらい、また吹っ飛ばされていた。
……実に鍛錬馬鹿だな
ため息混じりに義勇が近付く。
「朝餉が食えなくなる」
「義勇さん!おはようございます!……いてて」
「無事か?光希」
「はい。稽古ありがとうございました!いきなり誘ってすみません」
「気にするな。私の鍛錬にもなる」
光希は悲鳴嶼に頭を下げる。
悲鳴嶼は微笑みながら光希の頭を撫でる。
「光希、我妻は甘露寺の稽古が終わり、竈門は宇髄の稽古が終わった所のようだ」
「え、じゃあ次の稽古場に移動する前に捕まえなきゃ!」
「鴉に伝えて、待機させている。それぞれの稽古場にいるはずだ」
「わかりました。どっちにしても待たせてる。急いで行きましょう、義勇さん」
「朝餉だ」
「そうだぞ、食ってからだ。お前は食わなさ過ぎだ。しっかり食え。強くなりたいんだろう」
「……はい」
三人で朝餉を食べる。
食べ終わると、光希と義勇は本を持って準備する。
「冨岡、光希を頼んだ」
「ああ」
「悲鳴嶼さん、何かあったらすぐ鴉を飛ばしてください。遅くとも夕方には戻ります」
「了解した」
産屋敷邸を二人で出発する。