第58章 光
「善逸には話をしたいだけです。あいつ絶対気にしてるから。あと、炭治郎にも。明日会いに行ってきます。……善逸は甘露寺さんのところ、炭治郎はまだ天元さんのところかな?」
「二ヶ所回るのは手間だろう。我妻を連れて家に帰れ。そこに炭治郎を呼べばいい」
「帰宅はないですね。仕事ができなくなっちゃう。鍛錬も。……善逸を連れて天元さんの所へ行って、話をしようかな。天元さんにも伝えておきたいし」
「帰れ」
「帰りません。この前帰ったばかりですよ?」
「帰れ、休め」
「嫌だ!……どうせ帰っても鴉来るもん!休まらない!」
「鴉は出さない」
「それはそれで気になって仕方ないです。天元さんのところで面会。それが叶わないなら、俺はあいつらと会わない」
光希はプイッとそっぽを向く。
「お前は、そこではあいつらに甘えないだろう」
「甘えるために会うじゃない。説明するために会うんです。……義勇さんにちゃんと甘えたから、今回はもう甘えなくていい」
義勇は、ため息をつく。
やはり光希は帰らないようだ。確かに仕事量も半端ない。仕方ないとわかっている。
「義勇さん、……皆に話す時、同席してもらってもいいですか?」
「……承知した。お前が喋れなくなったら、俺が代わりに説明をしてやる」
「口下手なのに?」
「説明はできる」
「……じゃあ、お願いします。甘えっぱなしですみません」
「承知した」
義勇が立ち上がる。
「義勇さん、ありがとうございました。俺、もう大丈夫です」
光希が柔らかな笑顔で礼を言う。
「ああ」
義勇は、何時ものように短く答えて部屋を出ていった。
……こんな俺でも、あいつの光になれるのか。どう思う、錆兎
悲鳴嶼の所へ向かう途中、縁側から空を見上げて、義勇は亡き友に尋ねた。