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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第58章 光


産屋敷邸に着き、悲鳴嶼に会う。

「胡蝶とは会えたか」
「はい、連絡ありがとうございました」
「有力な情報があったのだな」
「有力かはわかりませんが、得たものを報告いたします」

光希と義勇は悲鳴嶼に報告をする。


「如月家と竈門家……そんなに深いところで繋がっていたのだな」
「俺の血で何か出来るとは思えませんが、可能性があるならと今調べてもらっています」

「そうか。……光希、大丈夫か」
「大丈夫で、」
「大丈夫ではない」

義勇が光希の言葉を遮って話す。

「ちょっと、義勇さん」
「全く大丈夫ではない。長めの休暇を与えるべきだ」
「な、何を!」
「冨岡が言うなら、そうなんだろう」
「悲鳴嶼さんまで!今、俺は休めない!やることが山積みなんだ。あなたが一番わかってるはずです!」
「お前の心が回復することが第一だ。お前こそわかっているはずだ」

光希は、ぐっ…と黙る。

「……俺は、大丈夫だ。落ち着いてる」
「ならば、この本が読めるのか」

義勇は例の本を出す。光希がビクッとする。

「……読めますよ。そんなもん余裕だわ」
「目が泳いでいる」
「確かに、相当動揺しているな」

「二人がかりかよ……。しまったな、義勇さん置いてこればよかった」

光希が肩を落とす。
悲鳴嶼が言い聞かせるように優しく言い聞かせる。

「冨岡も言ったと思うが、……これはお前のせいでは無いんだ」
「……はい、わかってます。頭では」

「もし私の祖先がその医者だったら、お前は私を恨むか?」
「いいえ」
「そうだろう。私もそれと同じだ。皆もきっとそうだ。お前をどうこう言う奴はいない」


「……では、悲鳴嶼さんがその状況だったら、あなた自身はどう思いますか?」

今度は光希が悲鳴嶼に問いかける。

「自分の祖先が諸悪の根源で、己はその血を引いている。そして周りは鬼によって大切な人が殺されている者ばかり…。その人たちから『自分のせいじゃないので』と目を反らせますか?自分を責めずにいられますか?」
「……出来ないだろうな」
「でしょう?俺もそれと同じです」

光希は俯く。

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