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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第57章 拾壱ノ型


「強いなあ、しのぶさんは」

しのぶが去っていった方を義勇と並んで見る。

「俺のこと聞いても全く顔色変えないんだもん。凄いなぁ」
「柱は皆そうだ」


「俺、本部に戻りますね。悲鳴嶼さんたちに報告しなきゃ」

今度は光希が持ち帰る本をまとめる。

「俺も同席する」
「え、いいですよ。もう落ち着いたし、ちゃんと報告できますよ」
「共同で捜索をしたんだ。俺も報告しなければならない」
「そうですか?別に、」

「同行する。共に報告をする。継子は黙って師の言うことを聞け」

義勇は光希の言葉を遮って、本の山を二つに分けていく。


「……自分の意見を通すために継子にしたんですか。反論させない為に」

光希が呆れた様に笑いながら言う。


「心配いただき、ありがとうございます」

「……暇だから行くだけだ」
「あ、ついに暇だと認めましたね!あはは!」


光希は本を背負い、義勇は手に持つ。
玄関で千代に声をかける。

「じゃあ、母ちゃん、行ってくるね!」
「光希、また帰ってくるのよ。善逸くんも一緒にね」
「………うん!またね、母ちゃん!」

出かける二人を千代が見送る。


千代には詳細を言えない。
それが心苦しい。

薬の情報を持つものは鬼からしたら厄介者。見つかれば殺されて、奪われる。
如月家がずっと隠しながら伝えてきたものを鬼に渡すわけにはいかない。

光希は痛む心を隠して、千代に笑顔で手を振った。


「ね、義勇さん、見てください!」

光希が刀を腰から外して見せる。
水色の小さな記章が、鞘で揺れている。

「刀に付けたのか」
「はい!これなら目立たないし、お洒落でしょ?」
「……俺にはよくわからん」
「少しはそういうのも勉強しましょうよ。飽きられちゃいますよ?」
「…………」

「贈り物するときは相談してくださいね」
「桃色の兎はゴメンだ」
「なんであの良さがわかんないんだ。可愛いのに!」
「全くわからん」

「義勇さん、屋敷につく前に、紅…落とした方がいいですよ」

義勇がとっさに袖で口を拭う。

「嘘でーす。こんな単純な策にかかるとは」
「……師をからかうとは、いい度胸だ」
「兎さんの敵討ちです」

光希が笑った。

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