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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第57章 拾壱ノ型


山を降りながら、ある気配を感じる。


「……義勇さん!」
「ああ、早かったな」

二人は屋敷へと走り出す。


「母ちゃん、只今戻りました!しのぶさん居ますか!」

玄関へと駆け込む光希。
客間からしのぶが顔を出す。


「朝から鍛錬なさってたのですね」
「すみません、しのぶさん。こちらが呼んでおいて」
「今来たところなので構いませんよ」

「本は俺の部屋だ」
「わかりました」

義勇が声をかける。
三人で義勇の部屋に行く。


光希はしのぶに全てを話す。


「こんなお伽話みたいなもの、信憑性に欠けるとは思いますが…、何か薬の手掛かりになればと思いまして」
「我々も今、行き詰まってましたので助かります」
「もし本当に俺の祖先が鬼舞辻を鬼にしたというのなら、逆に、人に戻す薬があっても不思議ではありません」
「毒と解毒薬は対ですからね」

「……単純に名前だけだと、この『回帰薬』『人為香』『願添散薬』などが怪しいかなと思います。書かれている材料を見れば、しのぶさんやあの方ならわかるのかもしれない」

紙を挟んだ本たちをしのぶと共に見る。

「ただ、おそらく鬼に見つからないように隠しているので、もっとわかりにくくされているのかもしれません。暗号化されているかも」
「確かにそうですね」
「もし難解な暗号解読が必要でしたら俺が解きます。ですが、俺の家の書斎に暗号解読系の本はなかったので、特殊な計算式や解析が必要とは思えませんけど」
「わかりました。その時はすぐに連絡をします」
「お願いします」

「あとは、帰る前に光希さんの血液を取らせていただいてもいいですか?」
「もちろんです。俺も調べてもらうつもりでした。いくらでもどうぞ!」


しのぶは持って帰る本をまとめていく。
義勇がそれをさり気なく手伝う。


「書斎に植物の本もあったので、必要ならおっしゃってください」
「わかりました」

「俺からの用事は以上です。では俺は自室にいますね。お帰りの際にお声がけください。採血はその時お願いします」

光希はすっと立ち上がる。

「おい」
「では、失礼します」

にこりと笑って退室する。

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