• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第56章 探しもの


冨岡邸に着く。

「只今戻りました」

なんと言えばいいのかと思ったが、その言葉が自然と出てきた。


ここも、俺の家なんだな……

そう思ってしんみりとしていると、千代が顔を出す。


「光希、お帰り」
「母ちゃん……母ちゃんっ!!」

本を下ろして、光希が千代に飛び付く。


「もう、もっと帰ってきなさいよ。馬鹿娘」
「母ちゃん……母ちゃ、ん……」
「どうしたの?光希、何かあった?」
「……大丈夫。ごめんね、母ちゃん」

「冨岡さんに虐められたの?」
「……叱られたの。俺、頑張ったのに」
「おい」
「まあ、酷い。母ちゃんが後で怒っておくわ」
「うん。厳しめによろしく」
「………」

しれっと千代に告げ口する光希。千代の肩口から、にやりと悪い顔を義勇に向けてくる。

……この野郎

義勇は久々の光希節をくらって閉口した。


「ご飯あるわよ。着替えてらっしゃい」
「うん。ありがとう、母ちゃん」

光希は本を両手に抱えて、嬉しそうに駆けていく。


「冨岡さん。光希は大丈夫なのですか?酷く無理をしているみたい」
「…………」
「また、倒れたりしたら」
「……見ておく」
「叱らないでやってくださいよ?」
「……善処する」

義勇も本を持って自室へ行く。


光希は部屋着に着替えて、すぐさま悲鳴嶼に手紙を書く。

内容は、しのぶへの連絡要請。
薬の手掛かりがあるかもしれないから、本を冨岡邸に取りに来て欲しいというものだった。


現在、しのぶと連絡を取れるのは悲鳴嶼とあまねのみである。その二人ですら研究所の場所は知らない。

しのぶが珠代との共同薬開発をしていることも、ごく一部の人間しか知らない。
隊内での完全なるトップシークレットだ。


義勇に手紙見せ、了承を得て鴉を飛ばす。


「薬関係の本は、全てここに置いていきます。しのぶさんが来たら渡してください」
「承知した」


そのまま義勇の部屋で夕餉を食べ、片付けを手伝う光希。

皿を洗い終えた光希がお茶を持って義勇の部屋に来る。本も運び込んで、仕分けていく。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp