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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第56章 探しもの


「……俺の人生、ちょいとキツ過ぎやしませんか?」
「なかなかだな」
「俺、前世で酷いことしたのかな。あ、違うか。祖先がやらかしてるからか。罪深い一族相応、なんだろうな」

涙が落ち着いた光希がそう言った。


「……泣きすぎて頭痛いです」
「………」
「おかげで震えは止まりましたけど」

義勇が棚に本をしまいながら一冊渡してくる。
薬学の本だった。頭痛薬の頁を開いている。

「そういう事ではないんですよ。今痛いんですよ」
「薬の本は出しとくぞ」
「はい。鬼を人に戻す薬が載っているのかもしれない。竈門家専用かもしれませんが」

「胡蝶に会いにいけ」
「どこにいるかわかりません。教えて下さい」
「俺も知らない」
「それは寂しい。次はいつ会うんですか?」
「未定だ」
「それ、本当に付き合ってるんですか?」
「……………」
「冗談ですよ。殺気出すの止めてください」


光希が本を棚に戻しながら言う。

「思い出しました。俺、にっがい薬飲まされてました。すんごいしんどかったです」
「それ、例の薬か」
「たぶんそうですね」
「お前も飲んでたんだな」
「十年飲んでないからもう効果はなさそうですがね」

「お前、今でも苦い薬苦手だったな」
「はい、絶対、例の薬のせいですね」
「まさに苦い記憶だ」
「うまい!苦いのにうまい!はは」

光希が少し笑い、義勇もほっとする。


「炭治郎くんの為に飲むのよって母様に言われてました。間違いないですね」
「そうか」
「禰豆子に効くのかな」
「どうだろうな」

本を片付け終わる。
外は夕暮れになってきた。


「一日で終わってよかったです」
「ああ」

「ありがとうございます義勇さん。それと、ご迷惑をおかけしました」

義勇は光希の頭を撫でる。

「気にするな。帰るぞ」
「はい!」

二人は持ち帰る書物をまとめる。
例の黒い本は、光希の目に入らないよう、義勇が風呂敷の中にさっとしまってくれた。

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