• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第56章 探しもの


「……すみません。取り乱しました」

まだ震えが止まらない中、光希が詫びる。


「我妻だったら、もっとうまく声をかけられるんだろうな」
「はは、は……そうですね。義勇さんは厳しい。普通は弱ってる人を怒鳴っちゃ駄目ですよ」
「そうか。俺はそれしか方法を知らない」
「ははは」


「……どうしたら、お前の震えは止まる」
「わ、かりません」

「泣いてみろ」
「……は?」
「泣け」
「嫌ですよ。何で泣かなきゃいけないんですか」
「泣いたら震えが止まるかも知れない」
「嫌です。こんなの、そのうち止まります」

光希は震える足で立ち上がる。
義勇がぐいっと腕を引き、バランスを崩して光希がよろける。

転びそうになるところを義勇の腕が支える。


「なにを……、」
「俺は、口が下手だ」
「………はい」
「そして、諸事情により、お前を抱きしめてやることも出来ない」
「諸事情って……」

「だから、泣かせてやるくらいしかしてやれない」
「………」

「お前が心底辛いのはわかっている。自分の存在が許せなくなるのもわかる。……怖いのも、わかる」
「……俺は泣きたくない」
「泣け」
「……っ、泣かない!」
「いいから、泣け」
「………くっ…」

「泣き止むまで、側にいてやる」


義勇が頭を撫でると、それがスイッチだったかのように光希の目からぼろぼろと涙が溢れた。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp