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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第56章 探しもの


本に向けて伸ばした手は、義勇の手に掴まれる。

「……義勇さん?」

青い顔をした光希が、義勇を見て聞く。


「本は俺がめくる」

そう言うと義勇は本を持って部屋の隅へ行く。
壁に持たれて胡座をかき、隣を指差す。
光希は、ふらふらとしながら義勇の隣に行く。

義勇の隣にちょこんと座ると、義勇は光希にも見えるように本を開く。


義勇の読むペースでゆっくりとめくられていく本。頁が進むにつれて、光希がガタガタと震え出す。

義勇は光希の様子を気にしながら、読み進めていく。

光希は義勇の羽織を握りしめて、最後まで一緒に読んだ。


パタンと本が閉じられる。


「……そういう、ことか」

義勇が呟く。


「俺は……、どうしたら。皆に、どう詫びればいいんだ。あなたにも、義勇さん。どんな償いをすればいい。全部、全部が…っ!」

「落ち着け。お前のせいじゃないだろう」
「でもっ!でも…知らんぷりは、出来ないっ!あなただって、俺が憎いはずだ!」
「憎くない!」
「嘘だ!」
「嘘ではない!」

義勇が光希の腕をぎゅっと掴む。
そのまま引き寄せて抱きしめたかったが、それが出来ずに、掴むだけに留める。

「嘘ではない、憎くない。憎いはずがない」
「……っ、何でだよっ!俺は、……俺はあなたのお姉さんの命を奪ったんだ!」
「違う」
「違わない!違わない!!皆、きっと、俺から離れてく。善逸も、炭治郎も、伊之助も、皆……。義勇さん、母ちゃん……俺は……」

光希が歯を食いしばって苦しそうな顔をして俯く。震えが止まらない。


「そんなものなのか」
「え……?」
「俺たちとお前との関係は」
「……、」
「俺たちの間には、詫びも償いもない。違うか」

「……でも、知ってしまった以上、何もなしには出来ない」
「なら、鬼に刀を振るうしないだろう」


義勇が光希の手を離す。


「お前に出来ることは何だ」
「鬼を倒すこと」
「そうだ。逃げるな。お前の一族の悲願だ」
「…………」
「俯くな。下には何も落ちてない」
「はい」

光希は涙を堪えて前を見た。

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