第56章 探しもの
「外してみるか?」
「はい。……ぐっ、かてぇ」
「貸してみろ」
義勇が棚板をぐっと引っ張ると、上下ニ段分の棚が一部、パカリと背板ごと外れた。
「えっ?」
「隠し戸か」
「おお!」
義勇が外れた棚を丁寧にどかすと、壁と本棚の背との隙間に隠されていた、本らしきものが顔を出す。
変色した油紙で包まれている。
それを見たとき、光希はゾクリと震えた。
嫌な予感がする。
見るな、と本能が叫び出すような、そんな感じだ。見た事もない本なのに、何故だ。
義勇がそれを手に取る。
他に何か無いか念入りに探すが、隠されていたのはそれだけのようだった。
義勇が無言で差し出し、光希も無言で受け取った。