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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第55章 軍事指南


「では、見回り報告と柱稽古の進捗状況はこれでいいか。次に、記章について、光希」

「はい。……今聞いていて、やはり稽古に向かう意識を上げることが必要だと思う。あなた方の稽古は厳しいから、どうしても隊士の士気が下がる」
「稽古を甘くしろというのか。とにかくあいつらは、弱すぎる。それこそ罪深いくらいにな。鍛えねばならない」
「もちろんです、伊黒さん。もっとやっていただいて構いません。そこで……」

光希は胸ポケットからリボンを出す。

「記章を隊士に与えてみたらどうかと思いまして。一気に説明しますね。とりあえず聞いてください」

リボンを目の前に並べながら、柱一人一人と目を合わせながら話す。


「稽古でいい成績を出した者に、この記章を与えます。褒美があると人は頑張れる。貰えることで自信と更なる向上心にも繋がる」

「また、男は女より収集意欲が高いと言われている。あれが欲しい、だからもっと頑張ろう、の流れが期待できる。圧倒的に男が多い鬼殺隊だ。効果はあると思う」

「尚かつ、この記章を沢山付けている隊士は優秀な者だとこちらも判断でき、稽古もしやすくなる。その者に合わせた段階の稽古が提示できるからだ。実力者にはどんどん難易度の高いものを与え、鍛えてほしい」

「どうでしょうか」

光希は説明を終えて皆を見る。


「記章を渡す基準は何だァ」
「お任せします。突破した者全員に渡してもいいし、ほんの少数だけでもいい。柱ごとに違っている方が楽しい。『お前それ貰ってんの?すげー!』みたいになるのもいいと思います」

「既に突破してる者はどうする」
「柱稽古ごとに、優秀な隊士は選出してもらってあります。記章をもらうに値していた者には、隠に届けてもらいます」

「貰ったら必ず付けなければいけないのでしょうか?」
「いいえ。それは隊士の判断とします。付けたくない者は付けなくていい」
「付けたくない奴などいるか?」
「俺だったら、付けませんね」
「へぇ……何でだ」
「他人からの評価に興味がないからです。あと、あまり目立ちたくない。そういう隊士もいるでしょう。だから強制ではありません」


柱たちは腕を組み、光希の前に並ぶリボンを見つめる。

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