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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第55章 軍事指南


「来たか」
「予想より、早い到着ですね」

コンコンと扉が叩かれる。
どうぞ、と声をかけると扉が開き、輝利哉が俯いて立っていた。


「……ごめんなさい」

「輝利哉様。謝ることはありませんよ。貴方は嫌だという意見を述べたのです。自分の意志を持ち、発言することの大切さはいつもお伝えしている通りです」
「うん…でも、光希に酷いこと言った」
「俺なら大丈夫です。何を言われても傷付かない強い心臓なので」
「嘘だ。……そんなはずない。光希は優しい人だから。いつも…胸を傷めてる、のに……」

輝利哉はぽろぽろと涙を流す。

光希は輝利哉の背中を押して部屋の中に入れ、座らせる。

「光希の思うように進めてくれ。頼む」
「よろしいのですか?」
「私は光希と父上を信じている、か…ら、……っ、」
「かしこまりました」
「任せた…っ、……う、っ……」
「ご立派です」
「ううっ、…くっ……」

「……輝利哉様、ご無礼致します」

光希はそう言って、輝利哉を優しく抱きしめる。

「よしよし、泣いていいよ。泣け泣け」
「……っ、……うわぁぁん……」
「偉いぞ。良く決断したな。……辛かったな。ごめんな。ごめん。俺の力が足りないんだ」
「ちがっ…光希は、……悪くないっ!」
「ごめん、ごめんな」
「あやまら、ないでっ……」
「辛いけど、一緒に頑張ろうな」
「うん…私も……頑張るよ……」
「うん、偉いぞ。よしよし」
「……うわぁぁ…、父上……父上ぇ…」


輝利哉の了承により、初手が正式に決まった。
屋敷の爆破と産屋敷耀哉の死。


「私は父上を見殺しにするのか」

輝利哉は光希の腕の中で呟く。
震える手で光希の羽織を握りしめる。

「違う」
「だが…そういうことだろう」
「違うよ。見殺しにするんじゃない。見届けるんだ。それが遺された者の使命」
「……見届ける」
「そうだ」


光希は輝利哉の背中を優しく撫でる。

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