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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第55章 軍事指南


光希は、投げ捨てられた手拭いを拾って懐に入れる。

「はは、キレましたねぇ。悲鳴嶼さん、火薬の手配、もう少し待ってください」
「しかし……」
「輝利哉様に納得いただかないと。準備はそれからにしましょう」
「……納得するだろうか」
「しますよ。出来ます。あの子なら」

「はぁ…だが、あの言い方はない。叱らなければ」
「悲鳴嶼さん厳しいですね。まだ小さな子どもですよ? ……逆に俺は安心しました。変に溜め込んでも後を引く。こうして発散してくれた方がいい」

光希はお茶を一口啜る。

「悲鳴嶼さんじゃなくて俺に八つ当たりするあたり、狡猾で見込みがある。ちゃんと的を得たことを言っていましたし」
「……損な役回りだな」
「いえいえ。光栄な役回りです。……さて、柱合会議前にもう少し会議しましょうかね」
「ああ」
「議題は、柱稽古の進捗状況、見回り中に気付いたこと、自己鍛錬の成果…あとは……」


光希と悲鳴嶼は二人で話を進めていく。


「では、『初手』に関しては……」
「はい、柱の皆にも内密にしましょう。満場一致で猛反対でしょうから。実弥さんなんてぶち切れるのが目に見えてる。天元さんは、言っても大丈夫です。反対するだろうけど、聞かないようなら俺が説得します」
「……わかった」
「皆怒るだろうな。……俺が全責任を持ちます」
「私も、半分持つ」
「………ありがとうございます」
「これは……、辛いな」
「ええ、……吐きそうです。はは」

「お館様は皆の心の支えだからな」
「その支柱を無くしたときの精神状態を、沈痛ではなく怒りに持っていきたい。怒りに振りすぎるとそれはそれで己を見失うけど……」
「おそらく柱たちなら大丈夫だ」
「はい……年若い無一郎が少々心配です」
「気にしておこう」
「お願いします」


そこへ足音が聞こえる。

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