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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第55章 軍事指南


光希は産屋敷邸につくと、すぐに悲鳴嶼と会議を始める。輝利哉も同席させる。


「輝利哉様、ご了承いただけましたでしょうか」
「再三聞いたことではあるが……、これしか方法がないのだな」
「お父上の強い希望なのです。それを上回るものが…俺にはない。かなり時間をかけて考えましたが……。申し訳ございません」
「光希は了承…したのだろう……?」
「はい。かねてより承諾をしております。最終決断は、昨夜いたしました」
「なら、私が…何かを………っ…、言えることでは、……ない」

輝利哉の目から涙が溢れる。
光希が手拭いを渡し、小さな背中を擦る。


「悲鳴嶼さん、火薬の手配と設置をお願いします」
「承知した」
「ううっ…父上……母上ぇ………」
「あまね様とご息女たちは、引き続き説得を。せめて彼女たちだけでも俺は救いたい」
「ああ。お前からも説得してくれ」
「もちろんです」

産屋敷家当主、産屋敷耀哉の自爆による無惨への攻撃。それがここに決定した。

「……うっ、……うわぁぁぁん、……っ、やっぱり嫌だ、嫌だ!嫌だ!……嫌だぁ……!!」

「輝利哉様……」
「光希がもっと優秀だったら、こんな初手を使わなくても良かったんじゃないのか!お前が、もっと大人で…、賢くて…、しっかりしてたら……っ!」

輝利哉は光希に手拭いを投げつけて、彼女を睨んで泣き叫び始めた。悲鳴嶼がそんな輝利哉を叱ろうと声を上げる。

「輝利哉様!!光希は、ずっと止めようとお館様に……」

それを光希の手が制した。


「その通りです。輝利哉様」
「光希……」

「俺にもっと才があったら、他のいい手があったかもしれません。力及ばず…、申し訳ございません」
「…………」

「お父上の覚悟は素晴らしいものです。ですが、尊い命をなげうつのは良策とはいえません」
「…………」
「では、何故聡明なお父上が、このような策を提示して譲らないのでしょうか」
「………何故だ」
「それは、ご自分でお考えください。……涙が止まってからで構いません。ゆっくり考えてみてください」
「…………」

「本日の軍議は以上です。何か聞きたいことはありますか?」
「………ない」

輝利哉はプイッと部屋を出ていった。


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