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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第54章 協同逢瀬作戦3


「あ、カナヲ、どうする?蝶屋敷に帰るか?」
「うん……光希たちに悪いし、帰ろ?」
「そうだな。一緒に怒られよう」
「うん」

「じゃあ怒られないように何か策を考えようか」
「ははは、いいよ。もう十分してもらった。あとは俺たちで頑張るよ。な、カナヲ」
「うん、ありがとね。光希」
「そっか。うん。炭治郎、強くなったね」
「へへへ」


二人は荷物をまとめる。
着物を風呂敷に包んで背負う。

「着物、本当に貰っちゃっていいのか?」
「うん、もともとそのつもりだったし、受け取って。またそれ着て二人でお出掛けしなよ。鍛錬サボっていいからさ」
「ははは、ありがとう」

二人が玄関に向い、光希と善逸が見送りに行く。

「善逸」
「うん」

善逸は花瓶から花束を抜く。垂れ落ちる水を、手拭いで拭いた。

「炭治郎、これやるよ。……お前からカナヲちゃんに渡してやれ」

炭治郎になでしこの花束を渡す。

自分の腕の中の花を見つめる炭治郎。二人にとっての思い出の花だ。二人とも玄関に生けられていたのは気付いていたが、やはり自分たちの為に用意されたものだったのだと思い至る。


「ありがとう。善逸、光希」


炭治郎は泣きそうな顔で二人に笑いかける。

そして息を整えて、カナヲの前にスッと片膝を付いた。赤い目がしっかりと彼女を捉える。

「栗花落カナヲさん。俺は、この命のある限り、貴女を愛すると誓います。必ず貴女を幸せにします」

そう言って花束を差し出す。
カナヲの目から一筋の涙がこぼれた。

「……はい。私も命ある限り、貴方を愛します。一緒に幸せになろう」

カナヲは差し出された花束を両手で受け取る。

炭治郎が立ち上がり、微笑みながら親指で涙を拭う。少し屈んでカナヲの額に口付けを落とした。


「おいおい、見せ付けてくれるじゃねえか」
「さんざん見せられたからな。お返しだ」

「炭治郎、今の誓い、忘れないで」
「ああ」
「カナヲ、なにかあったらすぐに私に教えてね」
「わかった。鴉飛ばすよ」
「はは、怖いな……」


それぞれ荷物を背負い、カナヲが大事そうに花を抱えて二人は帰っていった。

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