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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第54章 協同逢瀬作戦3


善逸は自分の方に光希を引き起こし、自分の腕の中に抱きしめる。

あやすように優しく背中を叩く。


「えへへ……、とんとん気持ちいい」

光希は甘えるように善逸の肩に頭を置き、体重を預ける。

「頑張り屋さん。偉いね」
「それしか出来ないもん」
「他にも出来ることいっぱいあるよ?」
「何?」
「俺を、こうして幸せな気分にしてくれる」
「……ふふ、それは善逸も出来るやつだね」
「俺こそ、それしか出来ないもん。光希みたいに頑張り屋さんじゃないし」

「最近の善逸は頑張り屋さんだよ。私なんかより凄く。影でちゃんとやってるの知ってる。悩んだりしてるのも知ってるよ。きっと、私が知らないところでもやってる。だから、強い」
「………じゃあ、まあ、そういう事で」

善逸は照れくさそうにそう言うと、光希の肩を掴んで少し身体を離す。両手を光希の顔に移動させ、ゆっくり優しく口付ける。まるで壊れ物を扱うかのように、大切に、そっと。

「ふふふ、幸せだ」
「うん。私も幸せ。落ち着く」
「本当?なんかドキドキしてるよ?ん?どうしたのかな?」
「………聴かなくていいよ」

いつもと違う、うっとりとした口付けに、不覚にもトキメいてしまった光希。目を閉じてゆっくりと近付いてくる善逸の顔は、はっとするほど本当に男前だった。


「はは、俺が格好良すぎて照れてんの?」
「………、そうだよ」
「あら、素直」

さっきから頭を使いすぎて、もう面倒くさくなったので素直に言う。


「善逸は口付けの腕がどんどん上がっていくね。階級があるなら甲かも」

「そうか。よし、もっと鍛錬するぞ」
「あははっ」

光希はもう一度善逸の肩に頭を寄せて、「ふぅー……よし」と言ってまた机に向かった。
お茶一口を飲んで、鉛筆を持つ。

「頑張れ、俺!」と自分を鼓舞する。


そしてまた思考の世界へと入っていった。


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