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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第54章 協同逢瀬作戦3


「今日は楽しかったなー……久しぶりにこんなに笑ったよ。でも善逸は、昨日からほとんど私に振り回されただけだったね。計略まみれでさ、疲れたよね。ごめんね」
「そんなことないよ。俺も楽しかった。俺は光希と居られればなんだっていいんだ」
「そっか優しいね、善逸は。知ってるけど」
「……おや、ご存知でしたか」
「だいぶ前から存じてますよー。かれこれ八年くらいになります。おお、人生の半分以上ですなあ」
「それはそれは」

善逸が光希の背中に手を回し、彼女の身体をぐっと引き寄せる。
夕方になって肌寒い。二人で体温を分け合う。


「善逸、どこか行きたいところある?」
「………家」
「そうだね。お家でゆっくりしようか」
「うん。いちゃつく。盛大に」
「でも、わかってるよね?」
「わかってるよ。危険日だよね。それで昨日も布団別だったもん。俺、野郎と同衾だったもん」

「炭治郎とカナヲも、いつ帰ってくるかわかんないしね?はらはらしたくないでしょ」
「見せ付けてやればいい。見取り稽古が一番手っ取り早いんだろ?」
「それはそうだけど……私の姿を炭治郎に見られてもいいなら」
「あ、それは駄目だ。うん。果てしなく駄目」
「ふふ、……帰ろっか」
「うん」

光希と善逸は立ち上がる。
刀を背中に入れて歩き出す。


「今日、いつまで一緒に居られるの?」
「うーん、そうだねぇ……」
「……すぐ行っちゃうの?」
「………いや、今考えてる」
「考える?何を?」
「今夜、なんとか一緒に居られるように」
「えっ!!本当?」
「頑張ってみるよ。帰宅してから少し仕事する時間ちょうだい」

「………頑張ってくれるのは嬉しいけどさ、無理しないで」
「ううん。頑張る。善逸と一緒に居たいもん」
「そっか。ありがとう光希。へへっ」

ぺしゃんこになりかけてた善逸の気分が少し上がる。

「でも、我慢大会だよ?危険日なのは変わらないからね」
「う……、それでも!俺は光希と居たい!くっつけるだけ幸せだ!別に俺だって、いつもいつも抱きたいとか思ってるわけじゃ……」
「ないの?」
「……ないとは言い切れない」
「あはは、ほらね」
「でも、それだけじゃないから!勘違いしないでよね!」

善逸が慌てて言い訳をするので光希が笑う。

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