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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第54章 協同逢瀬作戦3


「光希」

カナヲが光希を呼ぶ。

「二人の邪魔はしないから……、私たちも一緒にお店に行きたい。せっかく一緒にお出かけしてるんだから、もっといっぱい話しがしたいな。……駄目?」

おずおずと自分の意見を言うカナヲ。

カナヲが自分の思いを発することが苦手なのはわかってる。そのいじらしい姿に光希の胸がキュンとなる。

「ずるい、カナヲ……。そんなに可愛くお願いされたら断れないじゃん!可愛い!もう、好きっ!善逸より好きかも!」
「うおいっ!なんてこと言うのっ!」
「私も好きだよ、光希。大好き」
「………炭治郎、悪いな。カナヲはやっぱり渡せねえわ。俺がもらう」
「おい、ちょっと光希っ!?」
「炭治郎、気を付けろよ。あいつはまじで女かっさらってくからな。凄えぞ」
「勝てる気がしない……」

結局四人は一緒に喫茶店に行くことになった。
歩きながら光希と炭治郎が話す。

「炭治郎、これが最後の手助けだからな」
「ごめん……」

「あのな、もう何も心配いらないんだよ。俺と善逸だって全くわからない中で失敗しながらここまで来たんだよ」
「……うん、そうだな」
「恋愛事に関して炭治郎が案外へなちょこだってことはカナヲもわかってんだ。そもそもそんなに期待されてない、大丈夫だ」
「ん?それはそれで……どうなんだろう」
「どうせ緊張するとろくに喋れないし、カッコつけてもオロオロするだろうし、思ったこと全部顔に出るし。頭は悪くないのに、許容量を超えると止まっちまう」
「言い過ぎじゃないか?」

「でも、そんなお前のことが好きなんだよ、カナヲは」
「そうなのかな」
「俺が言うんだ。間違いない」
「そうか。俺、気負い過ぎてたかな」
「ああ、背負えないものを一人で背負う必要はない。カナヲもわかってる。二人で頑張るんだ」


「光希?炭治郎?どうかしたか?」

カナヲと並んで前を歩く善逸が振り返る。

「なんでもないよ」
「歩き慣れない草履だから、足が痛いか?」
「全然!」

光希は善逸の腕にしがみつく。

「……コケるぞ」
「今、私がコケたら善逸も共倒れだね」
「俺は達磨さんだからな。転んでもへっちゃらだ」
「じゃあ起き上がるときに私も起こして」
「もちろん」

四人は喫茶店に入っていった。

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