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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


少しすると炭治郎とカナヲが帰ってくる。
光希は手拭いをサッとしまう。


「あ、光希泣き止んだな。よかった」
「えへへ。化粧くずれたからもう落としちゃった」

光希は幼さの残る見慣れた顔に戻っていた。ほんの少し目が赤い。


「はい」

カナヲが手拭いを渡す。


「迷って迷って……結局これにしたの」

「わぁ…波千鳥……!可愛いね。縁起がいいし。ふふ、ありがとう」
「夫婦円満なんだってな、俺はよく知らないんだけど。お店の人が言ってた。善逸と仲良くしろよ」
「あはは、なるほどね。あとは千鳥が千取りで必勝祈願もあった気がする」
「わあ、流石光希。よく知ってるね」

「ありがとう……凄い嬉しい。大切にするね」

またじわりと涙がこみ上げる光希。
もらった手拭いを目にあてる。


「今日のお礼だよ。俺たちの方こそありがとう」
「ありがとう……光希」
「……どういたしまして。炭治郎、早々に振られるんじゃねえぞ!」
「う……、頑張るよ」
「もしそんなことがあったら土下座で詫びろ!」
「ははは、わかった」


「はい、善逸にも」
「え?俺にも?」
「うん。沢山ありがとう。本当に感謝してる」

炭治郎に渡された手拭いを広げる善逸。

「達磨……?」
「ああ、七転び八起きだ!」
「あはは、転んでばっかりの善逸っぽいね!」
「ふふふっ、ぴったりでしょ?」
「善逸は何度転んでも、いつもちゃんと起き上がるもんな。達磨も必勝祈願なんだって。受け取ってくれ」

善逸は手拭いをぎゅっと握る。
泣きそうになるのをぐっと堪える。

「ありがとな。俺もこれ、……大切にする」
「………泣けばいいのに」
「っ、泣かねえっ!」
「ほら、泣けよ、目の前に手拭いあんだから」
「泣か、ねえっ……!」
「あはは、泣いてら!」
「お前に言われたかねえ!あと言葉酷いぞ!直せ!」

二人はいつもの如く言い合いをしながら、もらった手拭いで早速涙を拭く。
親友たちの恋愛成就の喜びと、優しい心遣いに感謝しながら。


そんな光希と善逸を見て、嬉しそうに笑う炭治郎とカナヲ。

不意に目が合うと、頬を染めて照れくさそうに目を反らす。くすぐったくなるような初々しさに、光希と善逸も泣きながら笑った。


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