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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第7章 冨岡邸


稽古場に着く。

「俺がいない時も勝手に使え」
「はい!すっげぇ、広いっ!」

喜んで飛び跳ねる光希。

「掃除道具はどこですか?」
「この中だ」

義勇が場所を教える。

「承知しました」
「まず聞くのが、そこか」
「はい。稽古場は神聖な場所ですから。毎日しっかり掃除します」
「掃除なら千代がやる」
「いえ、これは俺がやります。なんとしても。稽古場だけは譲れない。千代さんには俺から伝えます」

真面目だな、と感心する。


「昼飯前と昼飯後、どっちがいい」

義勇が、光希に尋ねる。
あまりにも言葉が少ない。が、光希はなんとか読みとった。

「両方で!お願いします!!!」

義勇が竹刀を持つ。光希には木刀を渡す。
義勇の切れ長の目が更に細まる。

「来い」
「はい!!」


いきなり始まった鍛練。
まともに戦っては勝ち目がない。が、きっと太刀筋を見たいだけだと判断した光希は迷わず打ち込みに行く。

自分の出せる最速で義勇に詰め寄り、力を込めて振り下ろす。
義勇は難なく躱す。躱された瞬間、ひゅぅっと息を吸い身体を回転させてなぎ払いに行く。
義勇が後に飛び退た瞬間、「水の呼吸、弐ノ型、水車!」と技を出す。下から回る逆回転の水車。義勇は目を見開く。

――これか!確かに逆だ。威力もある

着地と同時にさらに踏み込んでもう一発。逆だから出来る水車の二連撃だ。
予想外の連撃に、義勇は光希の技を竹刀で弾いた。パァンッと乾いた音がする。

弾かれてもまたすぐ攻撃に転じる光希。着地した足に力を込めて飛び、「水の呼吸、参ノ型、流流舞い!」と技を出す。
流流舞いも通常とは違う動きをしているが、甘いところを突かれて弾き飛ばされる。

それでもどんどん技を出し続ける光希。まるで、とりあえず見てくれと言っているかのようだ。


―――…こいつ、頭がいい

義勇は直感的にそう思った。
今、何が必要なのかを瞬時に判断している。己の言わんとすることを汲み取ってくれるのは助かる。

そして何より、疲れてきてもとにかく楽しそうに木刀を振るう光希。

―――こいつは、伸びる


そう思った義勇は、ほんの少し口元に笑みを浮かべ、光希を容赦なくふっ飛ばした。


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