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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


椅子に座ったまま一人ぼっちの善逸。
ぽつんと寂しげに待ちぼうけていた。


……なんか俺、忘れられてない?


流石に遠すぎるのと、街の喧騒とで三人の会話が聞こえない。

暇すぎて足をぷらぷらさせていると光希が一人で戻ってきた。


「あれ?」
「…………」
「なんだよ、二人と喧嘩した?」
「するかいっ!」

光希は善逸の隣に座る。

「…………」
「……複雑な音がして、よくわからん」
「私にも、わかんない」
「一番強いのは、緊張……かな」
「そっか。そうかも」
「………炭治郎とカナヲちゃんは」
「街の外に出した」

「告白は喫茶店の後じゃなかったのかよ」
「変更した」
「へえ、そういうこともあるんだな」
「もちろんだよ。予測と状況がかわるなんてザラだ」
「……いけると判断したんだろ」
「うん。好機と思った」
「なら、大丈夫だ。待とうぜ」
「………うん」

光希は地面を見る。


「お前の予想ではもう何手か必要なはずだったろ」
「うん。炭治郎の覚悟が、思いの外早く整った。……私は恋愛の読みはまだ弱いな」


義勇としのぶの事を思いだす。
あの二人も自分の予測を越えて復縁をした。

恋愛経験値の低さを思う。


「え、何を心配してるの?絶対に大丈夫でしよ、あの二人」
「………うん」
「どっちも、お互い大好きじゃん」
「そうだね」


それでも。
策士というものはどうしても、駄目だった時のことを考えてしまう。
早急に次の一手を打つためだ。


少しの間、光希と善逸は座って待つ。

座りっぱなしだった善逸が身体を伸ばすために立ち上がった時、「あ」と声を出す。

光希も気配をとらえる。


顔を向けると、嬉しそうに並んで歩く炭治郎とカナヲの姿があった。


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