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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


カナヲは小さな蝶の帯飾りをじっと見ている。
桃色で可愛らしい帯飾りを、子どものようにじっと見つめる。

「可愛いね、それ」
「わっ、炭治郎!居たの?」
「……居たよ、さっきから」

苦笑いの炭治郎。小物に負けた、と思う。


「これ、帯につけるやつ?欲しいのか?」
「ん……でも隊服に付けられなさそうだし。着物なんてあまり着ないしね」

カナヲが帯飾りから目を離す。
代わりに炭治郎が帯飾りに手を伸ばす。

「え……?」
「また、着ればいい。その着物。可愛いんだから」
「炭治郎……」
「その時もまた、これを付ければいい」
「そうだね」
「買ってあげる」
「……えっ?いいよ!」
「買いたいんだ。俺が」

そう言って炭治郎は帯飾りを買い、店の外でカナヲの帯に挿す。


「炭治郎……」
「可愛いね。……と言いたいところなんだけど、どこに挿すものなのか位置がわからない。挿し直してくれ」

照れくさそうに頭をかく炭治郎。
カナヲは一度帯飾りを抜き、目の前に持つ。可愛い蝶が揺れ、カナヲの目に涙が浮かぶ。

その涙を見てぎょっとする炭治郎。

「え……」
「ありがとう、炭治郎……嬉しい」
「………うん」

炭治郎はなんだか胸が一杯になってそれしか返せなかった。


カナヲは光希の所へ走って行き、彼女の胸に飛び込む。

光希はカナヲの背中にそっと手を回し、頭を撫でる。そして炭治郎に向かって満足そうな笑顔を向けて頷いた。

良くやった、と言われてる気がした。
炭治郎も、へへっと笑う。



光希はカナヲに何か囁く。
カナヲが頷く。光希が帯飾りをカナヲの帯に挿す。


光希は炭治郎に近付く。

「いけるな、作戦の総仕上げだ」
「……ああ」
「ここから先は俺はいないぞ」
「大丈夫だ。やることはわかってる」

「………よし。一度街を出ろ。街の中はどこにいっても人がいる。街を出て、横の林に入れ。……言霊を思い出せ」
「うん。光希、ありが」
「それはどうすんだった?」
「……二人で言いに行く」

「善逸と待ってる」

そう言うと光希は炭治郎の肩をぽんと叩いてその場を離れる。



「カナヲ、話があるんだ」
「……うん」
「付いてきてくれ」


炭治郎はカナヲを連れて街を出ていった―――

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