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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


「じゃあ炭治郎、付いてきてくれる?用心棒として」
「ああ。………あ!善逸と刀」

「ぷくく、今思い出したの?必死過ぎ」
「仕方ないだろ、光希と…カナヲが男に絡まれたらさ……」
「あらまあ、そんなに私たちが大事?」
「……当たり前だろ!凄く大事な、………俺の宝物だよ」

後半はボソボソと言っていたので聞き取りにくかったが、カナヲが頬を赤くしたのでちゃんと聞こえたのだろう。


「ほ、ほら、お店行くんだろ!」

そう言ってくるっと背を向けた炭治郎の背中が可愛くて愛しくて光希は抱きつきたかったが、それは今してはいけないものだとわかっている。
光希の愛は思慕のもの。家族愛に近い。


……ああこの先、炭治郎に近付けなくなるんだな

少しの寂しさと喜びを胸に、光希は笑う。



「善逸、三人で小物屋さん行ってくるね。炭治郎が付いてきてくれるから心配しないで。刀見ててね」

光希が善逸の方を向いてそう言うと、長椅子に座った善逸が了解の意味で手を上げる。


「うん、伝わった」
「これだけ距離があっても、叫ばなくても聞こえるんだな。凄いな」
「あはは、便利でしょ。よし、カナヲ行こっ!」

カナヲを真ん中にして、三人で歩く。


「どこだっけ?こっちだったかな?」

光希はさり気なく二人から離れる。
並んで歩く炭治郎とカナヲ。


……あとは言うだけなんだけどな


流石に鈍い炭治郎でも、カナヲの気持ちはもうわかってる。これだけ自分への愛の匂いを漂わせてもらえば。

ただ、あとひと押し。あとひと押しが欲しい。
勇気と覚悟、そしてその状況……。


考えていると店に着き、二人は入っていく。

炭治郎は外に居たのだが、二人を見付けた男たちがにやにやしながら話していたので慌てて彼も店内に入る。

帯飾りや可愛い鼻緒などの小物類を見て回る二人。炭治郎も側で見るが、何がいいのかさっぱりわからない。

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