第53章 協同逢瀬作戦2
しばらくてくてく街を歩く。
丸太を見付けて男子を休ませる。
刀を背中から下ろすと善逸は伸びをする。
「んー!……ふぅ」
「お疲れ様、ありがと善逸」
「おう」
「炭治郎、痛い?」
「大丈夫だよ、カナヲ」
「ねえ、光希、あっちのお店……」
「小物屋さんでしょ?」
「そう。可愛かったよね」
「うん。やっぱり思った?……ね、ちょっと二人で行ってくるね。疲れたでしょ。善逸と炭治郎はここで休んでて」
光希とカナヲは丸太から降りて、歩き出す。
一瞬、善逸に視線を送る。
『どこかで隙を見付けて、私とカナヲが二人で行動をする。そしたら高確率で男に絡まれる。私達は可愛いからね。あはは』
光希の言葉を思い出す。
『音で聞いてて。男に声かけられたら炭治郎に教えて。そしたら炭治郎は絶対に私たちを助けに来る』
『俺も光希を助けに行きたいよ』
『駄目。炭治郎に助けさせるの』
………本当かよ。いくら二人が可愛いっつっても軟派男が街にいるかどうか。他にも女の子いっぱいいるしさ
そう思った瞬間、まだ視界内にいる間に三人の男に囲まれる光希とカナヲ。
……嘘だろ?もうっ?!速っ!
驚いた善逸が「おいっ!炭治郎!あいつらっ……」と炭治郎に話しかける。
しかし横を見た時、炭治郎はもう居なかった。
「えっ……、」
善逸が前に顔を戻すと、炭治郎はもう彼女たちの所へ行っていた。
……こっちも速ーーーっ!!…おいおい、凄えな炭治郎
善逸は苦笑いを浮かべる。
冷静に考えれば、光希とカナヲが一般の男に何かされるはずがないとわかるのに。機能回復訓練でカナヲの髪一本触れなかったことを忘れたのか。
………ちょっとおい、炭治郎、可愛すぎかよ。まあここはお前に譲ってやるぜ炭治郎
『刀を置いて離れるわけにはいかないでしょ。だから、その時は善逸は椅子のところでお留守番』
「……へいへい。大人しくお留守番してますよ」
善逸は足を組みながら、事の成り行きを見守る事にした。