• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


食後のお茶を啜りながら、炭治郎が言う。

「なあ、光希。今光希の階級って何なんだ?やっぱり甲なのか?」
「……それ聞く?」
「気になる。何?」
「よおし、ならば特別に見せてやろう」

まだ食べ終わってない光希が、袖を捲り右手を出す。


「階級を示せ!」

ズズズ…と光希の手に文字が現れる。


「え………」

現れた文字に三人は息を飲み、光希も驚く。


浮かんだ文字は、

『帥』(すい)

だった。


「いつから……。甲だったのに」
「……お前も知らなかったの?」
「知らなかった。階級なんて見ないじゃん」

「帥……総司令官だからか」
「これが、鬼殺隊最高位の称号……凄い」

炭治郎とカナヲが冷汗を流す中、光希が悔しそうに呟く。


「くっ…そぉ……私の渾身の一発芸がっ…!」
「は?」
「甲だと思ってたからさ、このうなぎのタレを頭ん所にちょんとつけて申(さる)にして笑かそうと思ったのにっ!」
「………え」
「里もいいけどさ、申の方が一手で書き換えられるでしょ?」

三人はぽかんとする。
確かに光希はうなぎのタレをたっぷり付けた箸を左手に持っている。


「お前、なに階級で遊ぼうとしてんだよ……」
「え?駄目?」

「駄目、っつーか……ぷっ、くくくっ、ちょ、待て…おいっ……」
「……くくくっ、いや、まあ、凄いというか、光希らしいというか……」
「ふっ…くくっ、待って、笑えるんだけど……!」

三人はぷるぷると堪えながら笑っている。
階級をいじって笑うとか駄目な気がして耐えているようだ。


「うーん、帥かぁ………、鰤(ぶり)かな、近いのは」

光希がそんな事を言うから三人はいよいよ「ぶはっ」と吹き出す。


「階級が鰤って、おい!だははは!!」
「どんな階級だっ!あははは!!」
「鬼殺隊の最高位が、鰤っ!!」

「我が名は如月光希!階級、鰤!出世魚の最高位だっ!」

やめろ!と言いながら三人が腹を抱えて笑い、光希も涙を浮かべて笑う。


三人が痛感してしまった「光希と自分たちの立場の違い」は、鰤によってかき消された。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp