第53章 協同逢瀬作戦2
鰻屋に入ると、皆で店内に貼られたお品書きをじっと見る。
一つのテーブルに、カナヲと炭治郎、光希と善逸がそれぞれ横並びで座る。
「一番高いのって、特上ですか?」
光希が店員にそう聞いたので炭治郎とカナヲはぎょっとする。
「大きさってどのくらいですか?」
また説明を受けている。
「私、半分しか食べられないけど…善逸いけるよね?炭治郎もいるし」
「大丈夫だろ」
「そうだね。じゃあ、特上四つください。あと、取り分ける用のお皿を二枚お願いします」
普通に注文する。
「本当に特上、いいのか?」
「いいよー」
「光希、凄すぎ……」
「あれ?俺に惚れた?嫁に来るか、カナヲ」
「ふふ、行こうかな」
カナヲが珍しく冗談に乗ってきたので、隣に座る炭治郎が飲んでた水を吹いた。
「ゲホッ……!」
「うおぃっ!こらっ、炭治郎、俺にかかっただろっ!」
「ご、ごめっ……ゴホッ!」
「炭治郎くん、ここで水の呼吸使うのやめてくださーい。捌ノ型、滝壺、ってか?」
「いや俺のところに直線で飛んできたから、これはあの突き技だろ」
「あはは、雫波紋突きかぁ」
「そうそれ。伍か?陸だっけ?くくくっ」
「ゲホ…、ゴホッ、ははは、漆ノ型だ」
光希と善逸が爆笑し、炭治郎もむせながら笑う。
するとそんな中で「ぷっ、ふふふっ」とカナヲも笑う。口元に手を当てながら肩を震わせて笑うカナヲに、光希も驚く。
「楽しいね」
そう言って、笑顔のカナヲがおしぼりで炭治郎の口を優しく拭いてやる。
思わず仰け反る炭治郎だったが、斜め前から光希にギンッと睨まれて、大人しくカナヲに拭かれる。
「ったく、しょうがねえなぁ」と笑いながら善逸が机を拭く。
光希はカチコチに固まる炭治郎を、頬杖をついて嬉しそうに見ていた。