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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


炭治郎の発言に、ポカンとする善逸とカナヲ、おいおい…と思う光希。

そして、自分の発した言葉が鼓膜を通って脳に返ってきた炭治郎が、冷汗を流しながらトマトのように赤くなって硬直した。



息を飲んだまま誰も呼吸が出来ずにいる中、光希がパチンと手を叩く。


「……よし、なら炭治郎にカナヲはやろう」

光希の明るい声が飛ぶ。

状況が状況なだけに、三人共それぞれ自分の脳みそを処理することでいっぱいいっぱいである。


「でもね、炭治郎。悪いけど、今日はさ、私にもちょっとだけカナヲを貸して?女同士で街を歩きたいの。いい?」
「あ、ああ。……どうぞ」
「やった!ありがと。カナヲ、行こ」

光希は脳停止しているカナヲの手を取り、笑いながら玄関へ走る。


炭治郎の『やっちまった発言』を無かったことにはせずにちゃんと残し、場の気まずさだけを取り除いた。


そして、カナヲを連れて先に玄関に行ったのは炭治郎に回復する時間を与えるためだ。

善逸が炭治郎の肩にぽんと手を置く。


「ほらな、大丈夫だろ?なんとかなるんだって。光希が全部うまく回してくれるよ」
「……っ、俺」
「ははは、おもしれえ。やらかしやがった」
「……面白がるなよ」
「もう、告白出来そうじゃん」
「うっ……、元はと言えば善逸がカナヲにちょっかいかけるからだろ!」
「はいはいごめんなさいねぇ」


光希とカナヲは玄関で草履を履いている。
何時ものぺたんこの草履ではなく少し高さのある艷やかな色の草履だ。

光希は赤、カナヲは銀。

履くと立ち上がって「どしたの?置いてくよー」と笑いながら声をかける。


男子も連れ立って玄関へ向かう。

男子は何時もの草履を履き、足首で紐をきゅっと縛る。

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