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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第53章 協同逢瀬作戦2


炭治郎は赤い顔のまま光希のそばに寄ってきて、彼女の側で囁やく。


「……ごめん、あれが俺の精一杯だ」
「上出来だ。不意打ちによく対応した」
「心臓飛び出るかと思った。意地悪軍師」
「ははは。初手は概ね成功だ」
「……光希も凄く可愛い。似合ってるぞ」
「はぁ……、もうだからそれをカナヲに言うんだよ。全く」

光希が苦笑いをすると、会話が聞こえたのだろう、居間から善逸が飛び出てくる。


「ちょっと光希っ!何先に炭治郎に着物見せてんの……ってうわあぁぁぁぁ!!!めちゃめちゃ可愛いんですけど!!!え、天使?天使なの?俺死んだのかなっ?すっげえ可愛い!もうものすんごく可愛い!!!」

顔を真っ赤にして、ひっくり返りながら髪を逆立てて叫ぶ善逸。


「……これが出来ればよかったんだな」
「いや、ここまでやらなくていい」

呆れ顔の光希。

そしてぎゃあぎゃあと喚く善逸を見ながら、愛おしそうにくすりと笑う。


「でもね、炭治郎。可愛いと言われて嬉しくない女の子はいないよ。何度でも言ってあげて」
「わかった」
「匂いを気にしたのはよかった。そういうことだよ。ちゃんと出来る。大丈夫」


炭治郎にそう言うと光希は居間に入っていく。

「えへへ、そんなに可愛い?」
「本当に可愛い。すっげえ、想像越え」

目の前にちょこんと座って微笑む光希を、善逸がまじまじと見つめる。

光希はカラフルでハイカラな赤い着物を着て、二つに分けた髪を緩めの三つ編みでお下げにしている。呉服屋の主人がくれた、これまたハイカラなお花の髪留めで髪をとめており、光希の動きに合わせてお花が揺れる。


「ハイカラさんだなぁ。可愛いよ。うふふ」
「善逸、この着物見てるじゃん」
「完成形は見てないもん!百点満点中、控えめに言って三億点だ!」

善逸は光希の姿を堪能したのか、ぎゅっと抱きしめる。


「あはは。全然控えてないじゃん。……善逸も、凄く男前だよ。黙っていればね」
「おいおい、辛口評価だな」
「私にしてはかなりの高評価出してるよ」

二人の抱擁を、廊下から炭治郎とカナヲが赤い顔で見ている。


もちろんそれに光希と善逸は気付いている。これは初手に続く、次の展開への布石だ。

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