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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第52章 協同逢瀬作戦


「ほい」

洗い終わった足袋を絞って炭治郎に渡す。

「え、速っ!うわぁ、凄いきれいになってるな。泥は落としにくいのに。俺も洗濯得意な方だと思ってたけど次元が違う」
「宿屋の下働き舐めんなよ。光希はもっと速い」

善逸はすぐに脚絆に手を伸ばして洗っていく。


「洗い物は山のようにあるし、速くやらないとぶん殴られる。そのうち寝ながらでもやれるようになる。冬場はとにかく手が痛かったな」

善逸は話をしながらどんどん洗う。


「黙々とやってると泣けてくるから、ずっと馬鹿なこと喋りながらやってた。だから俺も光希も喋りながらの方が洗濯速いの。はは」

「……そうか、辛かったな」
「まあ、俺は辛くてしょっちゅう泣いてたよ。でも、光希は泣かなかったな……。今、あの時の俺に会えるなら説教してやりてえよ。泣いてねえで光希を支えろってな」
「そんなことしたら、もっと泣いちゃうぞ」
「ははは、そうだな。ったく、どうしようもねえな俺は」

「いいんだよ、泣いても。光希も善逸もよく頑張ったな」
「炭治郎、お前って本当に良いやつだな」
「善逸が良い奴だからだよ。泣きながら善逸はしっかりと光希を支えてたんだ、きっと」
「炭治郎……」

「俺の大事な『めっちゃん』を守ってくれてありがとうな」
「こらお前、めっちゃん呼びやめろ……特別感出してんじゃねえよ。本当にたまに意地悪になるのなんなの。俺にだけだしさ」
「ははは、なんだろうな。やっぱり従兄弟だからかな。どこか悔しいのかも。光希は俺の初恋の相手だし」

「お前、従兄弟の光希でこれなら、禰豆子ちゃんに男が出来たらどうすんだよ」
「……そうだな、どうしようかな」

炭治郎をまとう空気が一気にピリついて、善逸は地雷を踏んだのだと恐怖した。


炭治郎は、別に禰豆子がいいならいいけどさ……、とぶつぶつ言いながら洗濯をしていった。


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