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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第52章 協同逢瀬作戦


炭治郎が口を開く。

「それにしても、光希が鬼殺隊の総司令官か……驚いたよ」
「そうだよな。炭治郎や伊之助には俺の口から言いたかったんだけど。ごめんな」
「光希が悪い訳じゃない。気にするな」
「うん」


「忙しいのか」
「まあな。この休暇のために、死ぬ程仕事こなしてきたよ。吐くかと思ったね」
「大丈夫か。無理してないか」
「無理をしてでも、お前を連れ出したかったんだよ」

炭治郎が足を止める。
真っ直ぐに光希の目を見て炭治郎が言う。

「俺と……カナヲのためか」
「そうだよ」

「俺が、全然動かないから……」
「そうだよ」

「……ごめん」
「本当だよ。ははは」

炭治郎は、またとぼとぼと歩き出す。


「どうやって気持ちを伝えたらいいか、わからないんだ」
「うん」
「俺、女の子と付き合ったことないし、女の子の気持ちも全然わからない。カナヲを傷付けるかもしれない」
「お前、素直なのにな。不思議だ。すぐに言えそうなのに」
「言えないよ……」

炭治郎は深い溜息をついた。


「でも、流石だな、炭治郎。カナヲとのことだって、よくわかったな」
「そりゃあ、前に奥手野郎って言われたからな」
「いやあ、善逸ならわからないと思う」
「はは、善逸だってこれだけ手掛かりもらえばわかるよ」
「どうかな……」


そこへ鴉が飛んでくる。

「光希、あちらも問題ない。場所を伝えたから明日の朝に来るそうだ」
「どんな感じだった?」
「嬉しそうにしていた」
「よし、ありがとう、鴉くん。あっちこっち行ってもらってありがとね」

肩にとまった鴉が光希に擦り寄る。
光希は愛おしそうに撫でてやる。


「だってさ。カナヲも嬉しいって」
「………」
「頑張れ。俺と善逸が支援する。ばっちり作戦たててあんだ。絶対にうまくいく。安心しろ」
「総司令官に策を練ってもらってるのか」
「そうだぞ?凄いな炭治郎。あはは」

「ありがとう、光希」
「それは、うまくいってから二人で手ぇ繋いで言いに来い」
「一人だったら、ごめん」
「そんときはまあ、慰めてやるよ」


二人は笑いながら家に向かった。

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